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難民の時代 [MYコラム]

少し前ですが、UNHCR国連難民高等弁務官事務所の職員、エチオピアで南スーダンからの難民保護に携わる方のお話を聞くイベントに参加しました。

私のエチオピアのイメージは飢餓でしたが、今は経済成長を遂げ、アフリカで最大の難民庇護国となっているそうです。オープンドアポリシーという言葉で説明されていました。しかしながら、同時に今年も天候不良で食糧難に陥り国際援助を必要としているとのこと。そこが少し理解が難しい。

北スーダンはアラブ系で宗教はムスリム、南スーダンはアフリカ系でクリスチャンで遊牧民。
2011年に南スーダンは独立したものの、いまだにインフラは十分に整備されていません。
独立後も国内情勢が安定せずに2013年12月にクーデターから内戦が起こりました。
その後、50万人が国境を越え、そのうち22万人程度がエチオピアに入ったそうです。多くが子供で残りは女性。孤児は2万人。
当時はかなりひどい行為が色々あったようで、普通のニュースでは取り上げられなくても、ネットの国際ニュースを見ていると生き残った女性たちの生々しい証言レポートがあがっています。

キャンプ内には学校もクリニックもあり、生活はそこで完結できるようになっていますが、国や場所によっては厳しい自然環境にあるようです。また、暴力、アルコール、トラフィッキング(人身取引)他の問題も。
一般的に難民が自国に帰還するまでの平均は約17年。その間に成長する子供たちは自国のことを知らず、アイデンティティの問題が指摘されるとのこと。

UNHCRの今後の方針として、難民キャンプの存在は無くしていくことが採択されたとの説明がありました。
当初の目的は第二次世界大戦後の欧州の難民の帰還だったそうですが、何十年を経ての大きな舵取り変更です。
UNHCRの活動をもっと広く知ってもらい、寄付を募るには、といったことも話し合われましたので、こうして記録することで、少しでも関心を抱いていただければと思います。

今最大のシリアからの難民は国外に約400万人、今まだ国内に留まっている国民は760万人。
増え続ける一方の難民に先進諸国の財政も底をつきかけており、WFPの食糧支援打ち切りも痛手とのことです。
ドイツはEUの中でも積極的に難民を受け入れる宣言をしていましたが、今回のパリでの衝撃的なテロが起こりました。
EUの人道主義、ボーダーレスの基本方針が大きくゆらいでいます。

難民についてはニュースを見て一時的に興味をひかれても、継続して関心を抱くのは難しい。距離的にも遠く感じます。ましてや、先日のケルンでの暴行事件やパリでのテロ未遂事件などを考えると躊躇します。
経済的余裕、時間的余裕、心の余裕がなければ、個人が難民に手を差し伸べることはなかなかできません。国内のことが先だというのも理解できます。
けれど、少しでも問題に目を向けることだけは出来ます。
今世紀最大の人道危機に各国が手をこまねいていても、テロの時代の進行を止めることにはなりません。

職員の方が言いたかったのは、難民を保護することは結局は対処療法、根本的には内戦のない国を作り上げるしかないということかと理解しました。
そのためには、今難民として日々過ごしている子供たちがちゃんとした教育を受けて大人になり、自国に戻り、経済的にも豊かで内戦がなくなる国を再建することができればいいのですが。。


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